このセクションでは、PHPを Unix システム上の Apache 2.x にインストールする際の 手引きと注意事項について説明します。
Apache2 の MPM マルチスレッドモードを実運用環境で使用することは推奨されません。 代わりに prefork MPM または Apache1 を使用してください。その理由については、 マルチスレッド版 MPM の Apache2の FAQ エントリを参照してください。
» Apache ドキュメンテーション を参照し、Apache 2.x の基本的な事項について理解しておくことを強く推奨します。 Apache のインストールオプションについてのより詳しい情報が得られます。
注意: PHP と Apache 2.0.x の互換性に関する注意
PHP の以下のバージョンは、Apache 2.0.x の最新版での動作が確認されています。
- PHP 4.3.0 およびそれ以降 (» http://www.php.net/downloads.php で入手可能)
- 最新の安定開発版。 ソースコード » http://snaps.php.net/php5-latest.tar.gz を入手、または Windows 用のバイナリ » http://snaps.php.net/win32/php5-win32-latest.zip をダウンロードしてください。
- プレリリース版を » http://qa.php.net/ から ダウンロード可能です。
- » anonymous SVN から PHP を 入手することも可能です。
以上のバージョンの PHPは、Apache 2.0.40 以降と互換性があります。
Apache 2.0 SAPI のサポートは PHP 4.2.0 で開始されました。 PHP 4.2.3 は Apache 2.0.39 で動作します。PHP 4.2.3 を Apache の他のバージョンと 組み合わせて使用しないでください。 PHP 4.3.0 もしくはそれ以降のバージョンの PHP を 最新版の Apache2 と組み合わせて使用することが推奨されます。
ここで挙げたバージョンの PHP は、Apache 1.3.x でも動作します。
最新バージョンの Apache HTTP Server を » Apache ダウンロードサイト からダウンロードし、上述のいずれかのバージョンの PHP を用意してください。 この手引きでは Apache 2.x で PHP を動作させるための 基本的な部分しかカバーしていません。さらに詳しい情報については、» Apache ドキュメンテーション を参照してください。 情報が古く不正確になってしまうため、以下では詳細なバージョン番号は 記述されていません。'NN' という文字列をご使用のバージョンに適宜置き換えて ください。
現在、Apache 2.x には 2.0 と 2.2 の二種類があります。 どちらを選ぶにしてもそれなりの理由があるでしょうが、 2.2 が現在の最新版です。もし選択の余地があるのなら 2.2 を使うことを推奨します。しかし、この例では 2.0 と 2.2 のどちらでも使えるようにしています。
例1 インストール手順 (Apache 2 共有モジュール版)
1. gzip -d httpd-2_x_NN.tar.gz
2. tar xvf httpd-2_x_NN.tar
3. gunzip php-NN.tar.gz
4. tar -xvf php-NN.tar
5. cd httpd-2_x_NN
6. ./configure --enable-so
7. make
8. make install
以上で Apache 2.x.NN が、モジュールの動的ロードとデフォルトの
MPM(マルチプロセッシングモジュール)である prefork が有効になった
状態で、/usr/local/apache2 にインストールされます。
インストールが正常か調べるには、以下のようにします。
/usr/local/apache2/bin/apachectl start
サーバの停止は、以下の通り。
/usr/local/apache2/bin/apachectl stop
引き続き PHP のセットアップを行います。
9. cd ../php-NN
10. PHP の configure を行います。ここでは、様々なオプションを指定し、特定の
拡張モジュールを有効にするといったカスタマイズを行います。指定可能な
オプションの一覧は、./configure --help を実行すると得られます。以下に、
Apache 2 と MySQL のサポートを有効にする、簡単な設定例を示します。
./configure --with-apxs2=/usr/local/apache2/bin/apxs --with-mysql
11. make
12. make install
configure オプションを変更して再インストールする場合は、最後の 3 つ
の手順を繰り返します。共有モジュールとしてコンパイルされた PHP を
有効にするには Apache を再起動するだけです。Apache の再コンパイルは
必要ありません。
特に断りがない限り、'make install' は、PEAR、phpize のような様々な
関連ツール、CLI 版 PHP などもインストールすることに注意してください。
13. php.ini ファイルを設定する
cp php.ini-development /usr/local/lib/php.ini
PHP の実行時設定を変更するには、.ini ファイルを編集します。
このファイルを他の場所に置きたい場合は、手順 10 で、
オプション --with-config-file-path=/path を使用します。
php.ini-development ではなく、php.ini-production を使用する場合は、PHP の
動作が変化しますので、ファイル中に記載されている変更点の一覧を確認する
ようにしてください。
14. httpd.conf を編集し、PHP の共有モジュールをロードするよう設定します。
LoadModule 命令の右側に記述するパスは、システムの PHP 共有モジュール
を指している必要があります。上記の make install により既にこの設定は
追加されている場合もありますが、確認が必要です。
LoadModule php5_module modules/libphp5.so
15. Apache が特定の拡張子のファイルを PHP としてパースするよう設定します。
たとえば、Apache が拡張子 .php のファイルを PHP としてパースするようにします。
単に Apache の AddType ディレクティブを使うだけではなく、
悪意を持ってアップロード (あるいは作成) された exploit.php.jpg
のようなファイルが PHP として実行されてしまわないようにしたいものです。
この例では、PHP としてパースさせたい任意の拡張子を追加していくだけです。
ためしに .phtml を追加してみましょう。
<FilesMatch \.php$>
SetHandler application/x-httpd-php
</FilesMatch>
あるいは、拡張子 .php, .php2, .php3, .php4, .php5, .php6, そして
.phtml のファイルだけを PHP として実行したいは、このようにします。
<FilesMatch "\.ph(p[2-6]?|tml)$">
SetHandler application/x-httpd-php
</FilesMatch>
拡張子 .phps のファイルを php ソースフィルタに処理させて
構文ハイライトつきのソースコードとして表示させるには、このようにします。
<FilesMatch "\.phps$">
SetHandler application/x-httpd-php-source
</FilesMatch>
mod_rewrite を使うと、.phps ファイルに名前を変えたりコピーしたりしなくても
任意の .php ファイルを構文ハイライトつきのソースコードとして表示させることができます。
RewriteEngine On
RewriteRule (.*\.php)s$ $1 [H=application/x-httpd-php-source]
php ソースフィルタは、実運用環境では無効にしておかなければなりません。
有効にしてしまうと、ソースコードに埋め込まれた機密情報や重要情報が漏れてしまう危険があります。
16. Apache サーバを、通常の手順通り、起動させます。
/usr/local/apache2/bin/apachectl start
- あるいは -
service httpd restart
上記の手順で、Apache2 ウェブサーバ上で SAPI モジュールとして PHP を動作させることができます。もちろん、Apacheと PHP の双方とも、もっと多くの configure オプションを指定することが出来ます。 詳しい情報を得るには、ソースツリーディレクトリで ./configure --help を実行してください。
マルチスレッド版の Apache をビルドするには、Apache のビルド時に標準の prefork MPM ではなく worker MPM を選択します。 そのためには、先ほどの手順 6 のところで ./configure の引数に次のオプションを追加します。
そうすることで何がどのようになるのかをきちんと認識したうえで、これを行わなければなりません。 詳細については Apacheドキュメントの » マルチプロセッシングモジュール (MPM) を参照してください。
注意: Apache MultiViews FAQ では、PHP でマルチビューを使う方法について解説しています。
注意: マルチスレッド版の Apache をビルドするには、ターゲットシステムがスレッドに対応していなければなりません。 その場合は、PHP についても実験的な Zend Thread Safety (ZTS) でビルドしなければなりません。 この構成では使用できない拡張モジュールもあります。推奨される方法は、Apache をデフォルトの prefork MPM モジュールでビルドすることです。